岡村 大樹

美術大学を卒業後、芸術系の仕事に従事。その後福祉の世界に入り、大阪で勤めた後、地元でもある東京へ戻り2016 年に樫の木会に入職。現在はプレイ&リズム希望丘にて児童支援にあたっている。

芸術分野から福祉の世界へ

美大を卒業して大阪で働いていた時、近所に福祉施設があったことが、この業界を知るきっかけでした。最初は何をやっている所なんだろう...と様子を見に行くぐらいの軽い気持ちで見学をさせてもらったのですが、そこにいたみなさんの個性の強さに驚き、惹かれ、そのままアルバイトをさせていただくことになり、現在にまで至っています。
「プレイ&リズム希望丘」の業務は大きく2つに分かれています。まず、午前中は児童発達支援。遊びも交えながら、体を動かしたり絵本を読んだりするアクティブな活動と、料理や工作などの椅子に座って集中する作業を行い、着替えや食事、歯磨きなどの日常生活に必要な動作の練習も行います。そして13時にお迎えが来て、ミーティングと掃除を挟み、14時半になると今度は学校終わりの小中高校生がやって来ます。こちらが2つ目の業務で、放課後の活動場所として18時まで各々に合わせた課題や作業を行っています。私の場合は9時に出勤し、みんなが帰る18時までが勤務時間というルーティンです。

職場初、男性の育児休業を取得

仕事が終わったらすぐに家に帰ります。子どもがまだ小さく、仕事を離れたらお父さんの時間です。
子どもが生まれた際、私は6ヶ月の育児休業を取得しました。奥さん1人に任せるのは大変だと思い元々考えていたことではありましたが、実際に取ったら「こんなに貴重な時間を一緒に過ごさないのはもったいない!」と1年でも2年でもずっと子どものそばにいたいと思うようになってしまいました(笑)そのくらい子どもとの時間は大切で、今でも多くの発見を与えてくれます。
職場で男性の育児休業は初めてのことでしたし、業界を見ても前例は少ない印象があったので、申し出る時は少し構えていたのですが、皆さんが自然に、すんなり受け入れてくれたので心が軽くなりました。仕事をしながらだと、疲れた状態や次の日のことを考えて子どもと接することになります。でも、育児休業中は24時間万全の体制で子どもと向き合うことができる。余裕を持って子どもとの時間を楽しむことができました。今後職場に育児休業の取得で悩む人がいたら、ぜひ取るように勧めたいと思っています。

親になって広がった仕事観

子どもが生まれてからは、仕事への意識も変わったように思います。それまでは本で読んだり知識として知っていたことが実感を伴って理解できるようになり、大切なお子さんを預かっているという意識が強くなりました。また、福祉関連の情報だけではなく子育ての情報も取り入れるようになったことで、考え方や問題が起きた時の対処の仕方の幅も広がったと感じています。
子どもたちは自分の思いや体の不調をうまく伝えられないことが多く、こちらもそれが汲み取れない時は心苦しさやこの仕事の難しさを感じますが、そういう意味でも子育ては推し量る事でしかコミュニケーションが取れないので、とても勉強になりました。
育児から職場、職場から育児、どちらからも学びと活かせることがあると実感しています。

個性豊かなスタッフと個性豊かな子どもたち

この仕事をする上では、ひとつ特技があると強いと思います。社会人になると一般的にそれはエクセルやワードといったものになるのでしょうが、ここで必要なのは「遊びスキル」です。ピアノやダンスのみならず、旅行が好き、お菓子作りが好き、バレーボールが好き...何でも子どもたちの興味を広げられる武器になります。私もお絵かきや工作といった芸術分野の作業を任せてもらっており、自分が考えたアクティビティや課題に子どもたちが興味を持ってくれた時は特にやりがいを感じることができます。
職場には、そういった何かしらのこだわりを持った個性的なスタッフが多く集まっていますが、それを上回る個性豊かな子どもたちに各方面から寄り添うことができる、非常に心強いメンバーが揃っているとも言えます。タイプは違えど、みんなで試行錯誤しながら、自然と同じ方向を向ける環境です。社会的な価値観や教育の観点から、こうした方が良い、こうすべきだという考えを完全に捨てることは難しいですが、できる限り柔軟に、グローバルに考え、様々な個性を尊重できる空間づくりを目指しています。